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//Artist Review//

Kenichiro Nishihara
作曲家・選曲家・プロデューサー・トラックメイカー
音楽レーベル・プロダクション “unprivate acoustics” (アンプライベート株式会社)代表
2008年にリリースした1stアルバム『Humming Jazz』が、異例のヒットを記録。 Billboard JAPAN Jazz Artist of the Year 2009/優秀ジャズアーティスト賞にノミネートされる等、一躍シーンの中心に登場した。
2ndアルバム『LIFE』は、日本のみならず韓国の配信サイトにてJ-POPチャート1位を獲得し、その後3rd『illuminus』も含め、ほぼノンプロモーションにも関わらず、いずれも国内外を含めヒットを記録。2015年5月にリリースした4th『Jazzy Folklore』もiTunesジャズチャートにてアルバム・ソング部門共に1位を獲得し、その後、台湾・韓国・中国と海外ツアーを行い成功を納める。
ダンス・ミュージックの視点から、全ての日常を、鮮やかに彩る『Folklove』プロジェクトや企業ブランドとのタイアップ企画、またコンピレーションへの楽曲提供やアーティストのプロデュースなど多岐にわたる作品・プロジェクトで手腕を振るっている。

http://unprivate.jp/

昨今ミュージシャンやレコーディングの現場に、よくオーディオのマニアが使っているような高価な電源ケーブルやラインケーブル、オーディオアクセサリの類を見ることが多くなった。

ほとんど全てをPC内部で行うことができるようになり、本来楽器やレコーディング機材に費やしてきた予算と興味 が、オーディオ系の商品に移ってきたのではないかと予想しているが、自分も決してその例に漏れることはない。

熟練のオーディオマニアにはさすがにかなうことはないが、今まで相当な額と労力をオーディオ系の製品に使ってき た。しかし、その効果、「実はさほどでもない。」というのが本音というところ。僕は自作もするので国産ケーブルの アレやアレと、定番のプラグで丁寧に作ったケーブルはなかなかの実力をもっていて、ノウハウといくらかの経験 さえあれば数百円程度の出費で少なくとも大手の商業スタジオくらいのクオリティーは確保できる。メートル数万円 のケーブルが本当に必要なのかということには、長いこと興味と疑問との行ったり来たりを繰り返してきた。

とはいうものの、プライベートスタジオに200Vをひいた時に起こった劇的な音質の変化は決して無視できるレベルのものではなく、ミックス作業にも耐えうるモニター環境を手に入れるきっかけになったことから、少なくとも電源の質が音に影響することは確信はしていた。また先に述べた自作の経験から、ケーブルで音のチューニングが出来るくらいの変化は体感していたので、いつかリファレンスとなるような組み合わせに出会いたいという願望は心の奥底で強く持っていた訳だ。

そんな心境で出会ったのがアコリバの製品群だった。 オーディオ製品の第一印象は音を聴く前に訪れる。細部まで丁寧に、自信をもって作られているというような印象は、そのデザイン性を含めて、モノとしての完成度の高さからも伝わって来る。スタイリッシュでかつ堅牢。しなやかで、かつ力強い。馬鹿げた考えかもしれないが、オーディオ製品は意外に見た目が音と直結することも多い気がしている。

まずはオーディオインターフェイスからパワーアンプの電源ケーブルとラインケーブルを試聴。同時に電源タップも100V 117Vともにすべてアコリバに変えた。
この手の製品にありがちな、音が硬くなったり、ハイが派手になったりすることは一切なく、音一つ一つの粒立ちが 良くなり解像度が上がる。定位がしっかりと見え、周波数帯も綺麗につながっているようで、音像は大きい。 ミックスをするには絶対によい変化だと確信した。
コーヒーで言えば熟練のバリスタが淹れたスペシャリティーコーヒーを飲んだ時に感じるような変なピークがない、 深みはあるが澄んだ印象。つまりケーブルのキャラクターというよりも、色付けを極限までしないケーブルなのでは ないかと予想できた。

次にパワーアンプから伸びるスピーカーケーブル。経験的にも知っていたが、これは激変といっても差し支えないレ ベルで音が変わる。実際に使用してみると、その変化の方向性が前述した電源ケーブル・ラインケーブルの時の変化 と同様なことに驚いた。今までよりもさらに雑味が取れて、スピーカーがしっかりと楽器のように鳴っているというような印象。バナナプラグとYラグは接点を増やすことを恐れてはじめは使わなかったが、しかしこれほどまでに同じ変化をする製品群を目の前にしたら試さないわけにはいかない。

バナナプラグとYラグををつけた途端、予想に大きく反してより音がぐっとクリアになり、ぼやけていたローが柔らかく締まる。本来の音がこうであったように聴こえ、もはやこれなしではこのスピーカーケーブルは使えないんじゃないかと思わせられるくらいの変化があった。

ここまで書いて気づくこと、それはアコリバ製品、すべて同じ方向での音質の改善がなされていくのではないかということ。もしも癖の強いピークがでるようなものであれば、よりピーキーになってしまう訳で、オーディオ的にはよいかもしれないが、より忠実な再生を求められるスタジオのモニターには全く使えないものになってしまう。しかし重ねれば重ねるほど最初に感じた印象がより確かになっていくのは、これらのケーブルが色付けというよりはむしろ雑味を減少させ、原音により忠実な再生を目指した商品であることを感じさせてくれる。

最後におそらく最難関だと思っていた、USBケーブル。その変化は小さくないが見極めが難しいと感じていた。他社 オーディオメーカー製のものも今まで数本使ってきたが、最初の印象はどれもよい。ただ試聴後すぐに「あれ?」 ということが出てくる。「何か違う。」という違和感が大きくなり結局元に戻す、というパターンが多いのがUSB ケーブルだったりする。これはあくまでも僕の個人的な経験。これもやはり音の抜けと音像の大きさが改善する。 特許にもなっている電源とデータを分けて伝送する2本で一本のケーブルは、その構造自体音に良さそうだ。
電源ケーブルの取り回しが音に影響するということはよく知られているが、そういう引き回しのケア以上の効果を ケーブル一本で実現しているような印象。

これで一通りがアコリバで接続された。

接点の100%をアコリバのTriple-Cでつないでいると何が起こるか。一言でいえば音が見える。

EQのポイントが変わり1hz、0.1db単位での音の変化が見えるようになる。ということは、コンプレッサーの設定もステレオイメージの設定も、音作りの何もかもの精度が飛躍的に上がる。また演奏においてはギタリストのピッキングが変わる、ボーカリストの息遣いが変わる。つまり意識できる表現の精度に、モニターの出音はかなり影響するということだ。

ただこれはしっかりと調整されたスタジオでは当然のこと。到底個人のスタジオでは揃えられないようなスピーカーや機材、ルームチューニングまで、サイズと金額に糸目をつけないレベルの話だ。しかし僕のスタジオはほぼすべてが民生レベルの機材のワンルーム。ニアフィールドの小さなスピーカーにそんな音質を求めることは非常に難しい。 それがアコリバ製品によって簡単に実現してしまったように思われた。むしろ超えている部分もあると思う。仕事で訪れるエンジニアから、彼らが拠点とするスタジオの感じと驚くほど近い音がする、と何度か言われたことがある。つまりそういうこと、しっかり調整された音がするのだ。

ミュージシャンや自宅のような環境で作業するエンジニアに、アコリバの製品は本当に必要なものなのだと確信している。正直なところ価格帯はなかなかのもので、ケーブルにこの金額を払うのは抵抗があるかもしれない。でも僕らが欲しいようなハイエンドのアウトボードを買い揃えることを考えたらさほどでもない訳で、僕はハイエンドのアウトボードを買うよりも、アコリバのケーブルたちを使ってプラグインで処理したほうが最終的によい結果を出せることを知っている。何せモニター環境を整えないことには目をつぶって100m走を全力で走っているようなものだから。

アコリバのおかげでようやく夢に見たようなリファレンスを手に入れた。

Photo by Makoto Nishijima

Kenichiro Nishihara
『Sincerely…』


01. our love feat. mabanua
02. all these years feat. Shing02 & Marter
03. far away feat. Pismo
04. the blessing notes
05. embers feat. Loumina
06. light up the dark feat. Substantial and Precious Joubert
07. shining light feat. Muhammad Iqbal (From Ikkubaru)
08. sincerely
09. sultry night
10. smile feat. Steph Pockets


Release 2016.12.14 ¥2,750 + tax

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my leaving feat. mabanua / Kenichiro Nishihara (Music Video)

all these years feat. Shing02 & Marter / Kenichiro Nishihara (Music Video)